阿蘇で蕎麦屋を始めました

八代生れ・育ちの私にとって阿蘇はまさに憧れの地でした。
初めての阿蘇訪問は小学六年の夏、ボーイスカウトのキャンプ。
むき出しの膝付近を襲う藪蚊は一匹もおらず、
広い草原を渡る風はあくまでも爽やかで心地良く、そして「温泉」。
高校時代、同じ下宿の友が「今から阿蘇に登っぞ」と突然言い出し、 ありったけの金をポケットに詰め込み、夜行列車に飛び乗ったことも。
大学時代、東京の県人寮で先輩から教わった「阿蘇の恋唄」は、
私の思い描いていた阿蘇のイメージにぴったり合致していました。

私の心に蓄積され続けたそのような阿蘇への思いが、
定年を控え、終の棲家を探す際に蠢き始め、私を阿蘇へ導いたのでしょう。
二〇〇九年、インターネットで現在の家に遭遇し、躊躇なく購入しました。

二〇一三年十二月、「蕎麦処 阿蘇の風」を自宅にて開店しました。
東京で知り合い、十六年前に一緒になった北京生れ・育ちの妻と
一緒にやれる事は何かと考えた末に出した結論でした。

阿蘇産の蕎麦と水を使った手打ち蕎麦に、
中華風の料理をアレンジした、ちょっと風変わりな小さな蕎麦屋。

初めの内は、どの位のお客様がみえて、どの位の蕎麦が出るのか見当もつかず、
余った蕎麦を知人に配ってまわる日が続きました。

蕎麦屋にもさまざまな蕎麦屋があります。
貧乏な学生時代、お腹が空いたら「蕎麦」。随分助かりました。
少ないお金でも食べられる物、私にとってそれは「蕎麦」でした。

熊本県の最低賃金は現在715円。
一時間働いたら食べられる蕎麦、
阿蘇の風のもり蕎麦とかけ蕎麦は現在700円です。

気楽にお出でいただき、ゆっくり寛いで、
私たちのそばで皆様の笑顔が拝見できれば幸いです。

店内画像
外観

阿蘇の風 讃歌

阿蘇に一人の男在り
そば打ちに憑かれ、我が棲家を差し出す
のぞみはひとつ、謝恩の一献
かろやかに吹けよ、阿蘇の風
是も非も問わぬ夕日に曵かれ、
歌うは舟唄、ともがらを思う
縁(えにし)結ぶは、こころ芳し
能書きなしの出たとこ勝負
日々是黄日(好日)、六尺竿頭
輪より証拠のおもてなし
行き交う中にもささやかな
きっときれいな花が咲く
寄り道、脇道、まよい道
紫音の風に吹かれ行く

『阿蘇の風』の開店のささやかなお祝いに、上野博行君と奥方芳様の名前を入れた折り句を、長年のご厚誼に感謝を込めて作りました。各行の一番上の一文字(ひらがなで)横に読んでいただければと思います。(友人Aより)

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